子育ては、子どもに「親」にしてもらう時間。アレルギーが教えてくれた、最悪を最高に変える心の技術
「親なんだから、しっかりしなきゃ」「間違った教育をしてはいけない」。 かつての私は、そんな目に見えないプレッシャーで自分を縛り、何でも悪い方、悪い方へと心配してしまう性格でした。 しかし、ニュージーランドで3人の娘を育てる中で、一つの真理にたどり着きました。それは、「最初から親として生まれてくる人はいない。親は、子どもとの日々の中で『親』にさせてもらうものだ」ということです。
「どうせやるなら、楽しんだほうが勝ち」の法則
嫌な仕事を「冒険」に変える脳内プロセス
私は今、物事を自分にとって良い方向へ考える「ポジティブ思考」を大切にしています。これは単なる楽観主義ではなく、過酷な育児を生き抜くために手に入れた「心の武器」です。
例えば、気が進まないトイレ掃除を頼まれたとしましょう。以前の私なら「面倒だな」と思いながら、ため息混じりに掃除をしていました。でも、嫌々やっても時間は同じように過ぎていきます。ならば、脳内でプロセスを書き換えてみるのです。
- タイムアタック:「何分以内にピカピカにできるか」を自分に課し、設定時間より早く終われば、その分を自分の自由時間という報酬にする。
- 配置のイノベーション:スリッパの向きや小物の配置を少し変えてみて、家族がどんな反応をするか密かに楽しみにする。
- 運気アップ:「トイレ掃除は金運を上げる儀式だ」と自分に言い聞かせる(笑)。
「やることは同じなら、上機嫌でやったほうが人生ははかどる」。この思考法が、どん底の時期の私たち夫婦を救ってくれました。
重度のアレルギーを「最強の訓練」と呼ぶまで
「不幸」を「予行演習」へと書き換える
長女が重度のアレルギーを持って生まれたとき、正直に言えば、最初はポジティブになんてなれませんでした。夜通しのケア、制限だらけの食事……。しかし、あまりの過酷さに、私たちはある時「思考のスイッチ」を切り替えました。
「こんなに大変な経験を今しているんだから、2番目、3番目の子の時はきっと楽に感じるはずだ。私たちは今、子育て界の『ブートキャンプ(最強訓練)』に招待されているんだ。これって、実はラッキーなんじゃない?」 超ポジティブ思考
もちろん、現実は厳しいものでした。ある休日、ニュージーランドの公園でピクニックをしていた時のことです。長女が無邪気に遊んでいると、前の利用者が残したわずかなヨーグルトが遊具に付着していました。それに触れた瞬間、彼女の肌に異変が起き、せっかくの休日は一変しました。
ニュージーランドの公園は開放的で素晴らしいですが、日本ほどゴミの持ち帰りが徹底されていないこともあります。そんな「予期せぬリスク」だらけの環境が、私たちを強くしました。
「準備の達人」という一生モノのスキル
そんな失敗を繰り返すうちに、私たちは「お出かけセット一式」の達人になりました。着替え一式、ウェットタオル、アレルギー対応の薬。それらを完璧に備えるルーチンは、今では何も考えずに体が動くほど染み付いています。
この「何があっても大体のことは対応できる」という揺るぎない自信。これを授けてくれたのは、他ならぬ長女の存在でした。彼女が私たちを、どんな困難も予測し、乗り越える「プロの親」へと育ててくれたのです。長女には、今でも心から感謝しています。
笑い飛ばせる家庭が、優しい子を育てる
家庭の空気は、親の「解釈」でデザインできる
もし私たちがアレルギーを「我が家の呪い」のように嘆き、暗い顔で日々を過ごしていたらどうなっていたでしょう? 家の中はどんよりと沈み、子どもたちも「自分は親を困らせる存在だ」と感じてしまったかもしれません。だからこそ、誰かが失敗しても「わはは!これでお出かけセットの重要性がまた証明されたね!」と笑い飛ばす空気を作ることに全力を注ぎました。
その結果でしょうか。親バカを承知で言いますが、3人の娘は驚くほど明るく、優しい女の子に成長してくれました。 少々のトラブルも笑って吹き飛ばし、相手のミスを許せる心の広い女性たちです。 これは、私たちが教えた教育の成果というより、一緒に困難を笑い飛ばしてきた「共犯者」としての時間が、彼女たちを強く、優しくしたのだと思います。
おわりに:古代の落書きと、今の私たち
2000年以上前、ナポリの遺跡から見つかった古代人の日記にさえ、「今の若い連中はなっていない」という愚痴が書かれていました。IT化が進み、AIが登場し、地球温暖化が深刻化しても、「人を愛し、人を育て、悩む」という人間の本質は何ら変わっていません。
だからこそ、今の厳しい状況や時代のせいにせず、「今、この瞬間をどう楽しむか」を全力で考えてみてください。未熟だった私が、アレルギーの娘を抱っこしながら学んだのは、立派な親になる方法ではなく、子どもと一緒に笑い、一緒に成長していく幸せでした。
昨日より今日、ほんの少しだけ成長している自分がいれば、それで十分。さあ、今日も上機嫌で、子どもたちとの「冒険」を楽しみましょう!

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